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秋の季節感の定番 
     土瓶蒸しです。
まずは上質の材料 焼き穴子、しめじか松茸
海老、銀杏等お好きなもので何でも結構です。
用意できるものを揃えましょう。

土瓶蒸しというのは土瓶にはいった吸い物ですね。椀に入れたものを煮物椀といいます。 懐石料理では具沢山の吸い物を煮物椀と申します。 ただ土瓶蒸しや茶碗蒸などは中に入る具が大体定番でき決まってますね。 でもお好きなもので何でもいいと思います。

土瓶蒸しや茶碗蒸にいれる材料、具の揃え方には二通りの考え方があります。 一つはいろんな材
を入れて味、旨味を混ぜあわせて複合的に美味しくするという考え方と、もう一つ旨味はあま
り混ぜ合わせず、たとえば海老に穴子に鶏肉に・・・・などというようにあまりにも多くの味を混ぜて
しまうとかえって味がごちゃごちゃになるので、材料の品数旨味の出る良質なものでシンプルに
仕上げるという考え方です。
私はこれは材料の種類や組み合わせで、ケースバイケースだとは思うのですが、どちらかというと
シンプルな方が好きです。 鱧と松茸、あるいは海老と焼き穴子 といった感じでしょうか。 野菜や
きのこ類 銀杏などならいろいろ入れても問題ありませんが、これにまだ他の魚や鶏肉など加えるとやはりちょっと味が混ざりすぎかなと思っています。 土瓶蒸しといえばやはり秋からのものですので、それではとりあえず秋らしい材料の下ごしらえ、選び方などからご説明いたしましょう。

松茸
土瓶蒸しといえばやはり松茸といきたいところで
すね。でも松茸は香りのいい国産のものはとて
も高価になりすぎてご家庭ではなかなか使えませんよね。 普通は輸入物で代用しますがこれが
難しいですね。   まず結論からいうと例外は
ありますが、産地からいうと韓国産以外はだいたい
お使いにならない方が無難です。 
韓国産でもさわってみてからっと乾燥しているもの、泥のついていないものを選んでください。 
北朝鮮や中国のものは概して土質も悪く泥っけ
の多いものが多いですね。そういうものはじめっと湿気ているものがほとんどで、輸送に時間もかかっているせいもあって、正直言ってかび臭いです。 冷蔵庫でキッチンタオル等に包んで保存しますが、じめっとしたものはすぐにかびがきますね。こんなものを使っては、松茸だというだけで、吸い物全体の味をかび臭くして全てを台無しにしてしまいます。 じめっとしたもの、あるいは泥のついてるものしか売ってない場合
は松茸はあきらめてしめじかしいたけ等を使って
ください。   そのほうがよほど美味しいです。

最近はモロッコなどからも輸入されているようですが、これもかび臭いものが多いようですね。まず国産と見間違うほどのからっと乾燥した綺麗なものが無い時は、質の悪い松茸など使わずに他のものを買ってください。料理全体がかび臭くなったり 泥臭くなったりするよりはよほどましです。 (^▽^)

海老
霜降り
大正海老などがよろしいですが、土瓶蒸しにかぎらず海のものを煮る、炊く、蒸す、といった調理をする場合は、まず例外なく材料は霜降りをします。 魚の煮付け、酒蒸し、あら煮、吸い物などすべてですが、必ず一度沸騰した湯を裏表にかけてすぐに冷水でさっと洗います。 斜めに置いたまな板に材料を並べて熱湯をさっとかけて、裏返しまた熱湯をかけます。 さっと色が変る程度でいいのですが、こうすることによって魚のうろことかぬめりとかが浮き上がってきますので、手で丁寧に冷水でこすって洗い落としてから水気をとります。魚の煮付けなどはそれから煮汁を沸騰させて、この霜降りしておいた材料を入れるのです。 海の材料を調理する場合、この作業を絶対に省いてはいけません。 これによって生臭さやぬめり、残ったうろこなどもすべてとれるのです。 面倒でしたら沸騰した湯にさっと漬けてすぐに取り出して洗ってもけっこうです。
この海老もさっと霜降りして水で軽く洗ってから水気を拭いてから使います。

焼き穴子
焼き穴子は関西の直火焼きのものが絶対のお薦めです。 できれば播磨産の焼き穴子を使ってください。 かなり高価ではありますがその価値は充分あります。

銀杏やしめじ まいたけ しいたけ 等 後はお好きなものを足してください。 酢だちも用意しておきましょう。 昆布とかつおのだしで吸い地を作って、土瓶に下ごしらえした材料を入れ、吸い地をはって焼き網にのせて沸騰させます。吸い地は普通の吸い物程度の味付けでけっこうです。 例によって味は喉の奥で感じてください。 薄口醤油が少し効いてるほうが秋にはいいとおもいます。 土瓶を火にかけるのが大変でしたら、鍋であらかじめ作ってから土瓶を温めておいて、材料と吸い地をはるだけでもけっこうです。銀杏は割って中身を出してゆがきながら薄皮をむきます。しっかり湯がいてから入れてください。 
松茸は料理本などには『香りが飛ぶので濡れ布巾でふいて云々』などと書かれてありますが、これは良質な国産の乾いて綺麗な松茸を前提としたもので、普通の輸入品ならやはりさっときれいに水洗いしないと汚れも土もとれません。 綺麗に洗ってください。 でないと吸い物が汚れと砂、泥で台無しになってしまいます。  
鱧をお使いになる場合は骨切りをしてさっと熱湯にくぐらせて花をさかせてから吸い地にいれます。  鱧は吉野葛をすり鉢でこまかくすったものをさっとつけて湯がきますが、これを鱧の葛たたきといいます。 秋になると 焼き鱧にして吸い物にする場合も多いですね。 鱧を使う場合は香りはやはり柚子と梅肉が定番でしょう。

さて 写真は 焼き穴子 海老 松茸などを盛り込み 備前のほうひん とぐい呑みで用意してみました。    秋の夜長 たまにはご家庭でもこのようなものはいかがでしょうか・・・・。(^▽^)