胡麻豆腐は吉野葛の魅力を最も引き出す料理だと思い ます。歴史は古くもともとはお寺で始まったとか云われてお りますね。昔は胡麻を炒る所から始まって 胡麻をどろど ろの状態になるまで擂りあげて、それから葛と水とあわせて また火にかけて練り上げるのですから1日がかりの大仕事 で最高のご馳走でしょう。 ところですり鉢とすりこぎですが・・・このすりこぎには何の木 がいいかご存知ですか? 答えは 山椒の木 です。 何故かというと 山椒とかその若芽の木の芽はよく料理の 香りに使いますね。 料理に相性がよく材料の香りを殺さ ない木なのですね。 他の木でしたらどうしてもすりこぎにし て材料をすりこんでいくと木の香りが入ってしまいますが、 山椒の木なら料理の邪魔をしないのです。
さて胡麻豆腐の作り方です。まず胡麻は良質の胡麻ペーストを使いましょう。胡麻から擂るのは大変 ですから・・。(^▽^) 胡麻豆腐につかうだしは昆布だしです。 かつおは使いません。 胡麻の香りを生かすためですね。 昆布だしに酒を一割入れてください。 葛は出来上がった胡麻豆腐の使い道によって濃度を変えます。 写真のようにそのまま冷まして供する場合は葛が1にだしが8です。 煮物椀などの椀だねにするには もう少ししっかりとさせたいのでだしを6ぐらいにします。ラップでくるんで中に海老などを射込む場合は もっと硬くしないとくずれますのでだしが5ぐらいでしょうか。 ご家庭では葛1に出し8で作って頂いて大丈夫です。 胡麻ペーストはメーカーによって味の濃度がちが いますが良質なものでざっと見た目に葛と同量ぐらいで溶かしてみて味見をしてください。 薄いようなら もっと胡麻を足します。胡麻の苦味が消えるところまで砂糖をいれていき、かるく塩 ほんの少し醤油 で 味を整えていよいよ火にかけます。 鍋を火にかけたら 泡立てと木べラを用意しておき泡立てで混ぜながら温度をあげていきます。 最初は強火で結構です。 ほんの少しとろみが出てきたなと思ったら少し火をよわめてひたすら泡 立てきで強烈に混ぜこみながらそのまま温度を上げていきます。 ここの作業が一番難しいところ です。 だまができないように一心によく混ぜ込み完全にとろみがついて硬くなったらこんどは木べら にもちかえてなべのふちから胡麻豆腐を混ぜながら練り上げます。 ここから沸騰を止めない程度 の弱火でじっくりとしかも焦がさないように注意しながら最低でも20分は練り上げます。 この作業が葛のねっとり感と力をいっそう引き出します。 ここが一番のこつのこつです。 このときに はいできあがりとすぐに固めてしまうといい胡麻豆腐はできません。 しっかりと練り上げ ていくうちに胡麻の油が表面までまわってでてきます。 ここまで練り上げれば美味しい胡麻豆腐が できますね。20分ほど練り上げたらできれば流し缶に なければステンレスのバットか何かに流しい れとんとんと底を何度か軽く打ち付けて空気をぬいてから、表面にラップをかけて空気に触れない ようにしてそのまま冷まします。下に割り箸などを置いておくと早く冷めますね。 急ぐ時は器ごと 氷水で冷やします。 胡麻豆腐が冷めて出来上がったら 適当に切って天だし程度のだしで山葵をたっぷりのせて 頂きましょう。 写真はからすみと穂紫蘇を添えています。