作りおきしておいて便利なもの   今回は ぽん酢 です

ご家庭で作りおきしておいて便利なもの 
今回は自家製ぽん酢をご紹介いたしましょう。

みなさんご存知の通りぽん酢とは柑橘類の絞り汁で作った酸
味のつけだれです。ご家庭では本物のぽん酢ではなく瓶詰め
の既製品をお使いの方が多いようですね。 
既製品のぽん酢はこれもなかなか良いものが少ないですね。
ひどいものはぽん酢とは名ばかりで、柑橘類の絞り汁がほとんど
入っていないような、あまったるくて癖や人工旨味調味料の強い
ものもあるようです。 
ぽん酢はご家庭でもごく簡単に作れますので是非一度
お試しください。
ぽん酢のもと すなわち柑橘類の絞り汁ですが これは何が
一番良いのでしょうか?生の柚子や 柚子の天然絞り汁の瓶
詰めなどはすごく高価で香りも良いのですが、何故かあまりぽん
酢には向かないように思います。柚子はシャーベットにでもして
ください。酢だちもポン酢にするとかなり特有の癖があります。   

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さてでは何がぽん酢に良いかというとやはりかぼすでしょう。  これほどぽん酢に適した柑橘類
はないでしょう。 香りもどんな料理の邪魔もしないようです。 しかし生のかぼすは秋しか出回り
ませんしいつでも常備しておくというわけにはいきません。   できれば上質な天然のかぼすの
しぼり汁の瓶詰めを探してみてください。無理にかぼすでなくてもいいのですが、瓶詰めの絞り汁で
ぽん酢に使える物の条件としては何よりくせがなく薬品臭くないものです。 また苦味の強いものも
よくありませんね。防腐剤やましてや人工アミノ酸などが入っているものは敬遠したいですね。
また生の柑橘類は、一度ぎゅっと搾り込んだらそれ以上無理に搾り上げてはいけません。
何故かというと内側の白い皮のところから苦味が出てしまうのです。
 
檸檬でもなんでもそうですが、柑橘類は一度ぎゅっと搾ったらそれで終わりにしてください。それ
以上無理に絞り上げると苦味が出ます。
さて 生の柑橘類でもしぼり汁でも結構ですから用意できましたらこんどは醤油ですね。 
ぽん酢の基本は生の柑橘類の場合しぼり汁 1 に対して 醤油 1です。 これはあくまでも
基本ですので酸味と辛味のバランスを味見してとってください。
その時のしぼり汁の酸味によってかなり分量にばらつきがあります。 醤油は生醤油ではきつい
ので出し醤油を作っておきましょう。ぽん酢に使う醤油も必ず一煮たちさせたものを使用します。
 
うちではぽん酢に使う醤油は15年ほど前までは濃口を使っておりましたが今は薄口です。 
醤油を鍋に注ぎ入れ、だし昆布を通常の出汁を取る時の倍以上、できれば3倍程度入れて火にかけ
ます。 これもやはり沸騰してきたら醤油は猛烈に吹き上がってきますので、十分注意してください。 
一煮立ちしたらすぐにとろ火にして3分ほど炊いてから火をおとし、昆布はそのままにしておいて鍋ご
と冷まします。少しぬるく冷めてきたら昆布だけ取り出しておきましょう。 いつまでもほうっておくと
せっかく昆布から出た旨みがまた昆布の中に入り込んでしまうのです。この醤油には私はかつおは
使いません。 かつおの香りをぽん酢にはつけたくないのと、ぽん酢を肉類に(たとえばしゃぶしゃぶや
たたき等)使う場合は魚気の出汁が入っていると途端に口の中が生臭くなるからです。 
味醂は好みでほんの少し煮切ってから入れてもよろしいですが、甘味を感じるまで入れては入れ
過ぎです。 甘味はあくまでも酸味の抑えの為程度にしておいてください。
さてこのだし醤油が冷めたら一度シノワで濾してから使います。    瓶詰めのしぼり汁を使う
場合は味見をしながら合わせていきます。  酸味と辛味のバランスをとってください。 辛すぎず 
すっぱすぎず ちょうどいい割合に調整します。味見は例によって喉の奥で見るよう心がけてくだ
さい。 舌の上で見ようとするとどちらかにかたよります。

これをまた一升瓶にでも詰めなおして冷暗所で保管します。 生の柑橘類を使う場合はこの
醤油だけ冷まして保存しておけばいいのです。 料理に使うときに器に柑橘類をしぼり入れて
この出し醤油をちょうどいい味になるよう直接注ぎいれます。 すごく簡単に 即 ぽん酢の
                                  できあがりです。  (^▽^)

ところで 塩梅(あんばい)という言葉をご存知ですね。 これは文字通り 梅の酸味 と 塩 とい
う意味なのです。  いい塩梅で・・・・・と言うのは、酸味と塩辛みの具合がちょうどいい・・・というと
ころからきているそうです。   みなさん いい塩梅で ぽん酢をつくってみてください。  (^▽^)  

蛇足ですがうちではかき料理のシーズンに入るとぽん酢を多量に使いますので、何度かにわけてシー
ズンに向けて仕込みいたします。その際は私がぽん酢を作りますが、接客サービスの女性スタッフ全
員にこの仕込みしたぽん酢の詰め替え作業を手伝ってやってもらうことにしています。 一升瓶
に何十本も大きな鍋から勺で掬って漏斗で移しかえて、その一升瓶を綺麗に拭いてマジックでぽん
酢と書いて押し入れにしまいこんでもらいます。  その作業はかなりたいへんですが仕込みしたぽん
酢の貴重さをわかって貰うためです。ケチるわけではありませんがぽん酢にかぎらず大事に仕込んだ
ものを無駄に使ってほしくないからです。
           冗談交じりに ぽん酢の1滴は血の1滴と思ってね・・・・と  云いながら。
                                           (^_^;