丹波の黒豆煮含め
      のし梅
黒豆の炊き方に王道なし
ただひたすらじっくりと炊きましょう・・・。
重曹と圧力鍋は使いません
© Japanese Restaurant Kakiko
           All rights reserved.

いわずと知れた黒豆です。これはやはり何といっても
兵庫県の丹波産
がお薦めでしょう。  丹波産の大粒
の一級品をお求め下さい。 結構日持ちもしますし火を
入れなおせばかなり長期にもちますので、家庭でも乾燥
重量で1キロは一度に炊きたいですね。 これは少量
炊くのはかえって火の加減とか難しいからです。 
黒豆の炊き方、もどし方には昔からいろんなやり方が言
われてきましたが・・・たとえばポットにお湯を入れてその中
で一晩かけてもどすとか、炊飯器を保温にしておいて炊き
上げるとか・・・です。
しかしそのようなやり方ではなかなか巧くいきませんね。

学問と黒豆の炊き方に王道はありません。
普通のことを普通にやっていけば美味しくできます。

まずもどし方です。 黒豆は米を研ぐようにして鍋のなかで皮が破けないようにさっと洗います。
これに4倍以上の水を入れて一晩そのまま寝かしてもどします。一晩夜中にほうっとけばいい
のですから何もわざわざポットなどに入れてあげくに豆が膨らんでポットが破裂してしまうようなことは
しないほうが得策です。寝てる間にかってにもどります

さて次の日火にかけて沸騰してきたら泡がたくさん出てきますからそれを掬い取ってから一度さし
水をして少し温度を下げてやります。こうすることによって皮と豆の肉が均等に戻るようにしてやる
のです。もう一度沸騰したらあくを取り日本酒を全体量の10分の一ほど入れてガーゼがサラシ
で落し蓋のように豆のうえを覆い、空気に触れないようにしてじっくりと沸騰をとめない程度の
弱火で茹で続けます
。ざっと半日はかかるかもしれませんね。豆が新しいと早いのですがちょっと
ひねてくると時間がかかります。その間に水が減って豆が空気に触れないようこまめに水を足
しながら茹で上げます。私は一度に3キロの黒豆を炊きますが酒は純米酒を1升入れます。
ここがこつですね。豆にしわがよるのは空気に触れるからです。 とにかく空気に触れなければ
しわは入りません

鉄をいれるか鉄の鍋で炊けば真っ黒に仕上がりますが
私はあえそのまま炊いて茶色に仕上げます。その方が
なんとなくぶどう豆らしいかと思っています。 (^▽^)  
古釘を入れるっていうのは単に迷信です。それは不衛
生ですので止めて下さい。 何か鉄のものでいいのです。
鉄の鍋で炊くのが簡単なのですが無理に真っ黒に仕
上げなくてもよろしいと思います。 どうしてもという方は
鉄の鍋で炊いてみてください。
さて黒豆を柔らかく炊くのに重曹を入れて重曹抜
きをするとか、炭酸を入れて炊くとか昔からいろいろいわれ
ます。また最近では圧力鍋で炊いたら早く柔らかくなる
と書いてある料理の本もありますね。でもそれは間違い
です。その必要などありません。 ましてや重曹を入れて
ゆがいて重曹抜きをすると、せっかくの茹で汁がなくなり豆
の旨みもなくなってしまいます。重曹だけは絶対に入れ
ないで炊いてください。
また圧力鍋はどうして早く柔らかくなるかというと、高い圧力を鍋の中にかけて材料の細胞膜や細胞壁を
壊して早く炊けるようにしてあるのですね。 ですから旨みも味もすべて材料から煮汁に出てしまいます。
圧力鍋ほど料理を理論的にもわざわざ不味く作るものはないと私は思っています。
黒豆に限らず何を作るにも圧力鍋は使わない方が美味しい料理になると思います。

ただスープをとるという手法だけは圧力鍋でも理にかなっていますね。 スープやフォンは煮汁だけをとる
のが目的ですから・・・。  ただこれもどうしても濁ってしまいますが・・。

ではもうすでに家庭に圧力鍋があるのはどうしたらいいのか・・とおっしゃる方もいらっしゃる
でしょうか?          私なら残念ながら次のごみの日に捨てます・・・・・。(^▽^)
とにかく何もしなくてもじっくり時間をかけて炊けば必ず柔らかく仕上がりますので、わさざわざ豆の旨みを
捨てるような手法は如何なものかと思います。   オーソドックスに普通に炊きましょう。

さて口に含んでみて上あごでも潰れるぐらい柔らかく茹
で上がったら、そのまま砂糖を少しづつ入れていきます。 
最低でも一時間おきに三分の一づつ入れてなじませてい
きます。ここで焦って一度に砂糖を入れてしまうと下手
をすると豆にしわがよってしまって硬く縮んででしまいます。 
できれば三分の一の砂糖を入れて一晩寝かせて、次の
日にまた残りの砂糖を分けて入れながらじっくり炊き上げ
るとうまく仕上がります。
 ここがこつのこつですね。 
砂糖は黒豆1キロに対して1.1から1.3キロです。

昔の料理屋では、柔らかく茹で上げた黒豆を別に用意した
蜜に漬けかえて、その蜜も一日ごとに濃度を上げてゆき
1週間かけて漬けかえてようやく仕上げたりしたようですが、
そんなことをしている間に豆の旨みは消えてしまい甘い
だけのものになってしまいますね。黒豆は茹で汁ごと味を
つけて直焚きしないといけません。丁寧にやれば良い
というものでもありません。

さてここまでやってきてお気づきでしょうが全く特別なことはやっていません。 純米酒を入れたぐらいでそれ以外は何も特別なことはやってませんね。 ただじっくりと時間をかけて空気に触れないように炊くだけなのです。    冒頭にも述べましたように       黒豆の炊き方に王道なし です。
 
上の写真は炊き上げた黒豆にのし梅をそえています。 のし梅 とは山形の 佐藤屋 の銘菓で全国でも屈指の銘菓ですね。 梅ゼリーのようなものですが、私はこれ以上の梅のお菓子に
未だにお目にかかったことはありません。 なにしろそのままお菓子としても特急品で文句なく美味しいですが、料理の香りとしても使えるものです。

黒豆は家庭で炊けばほんとに美味しいものです。 瓶詰めなどの高価で甘いだけの黒豆しか知らない方は目からうろこですよ。           是非おためしあれ・・・。