さてそうめんの次は天麩羅にうつりましょう。 まず天麩羅に使う粉ですが、通常は薄力粉ですね。
天麩羅の薄力粉の溶き方にはいろんなやり方が云われています。 よく料理の本などには小麦粉は
ねばらないようにさっくり混ぜるとか書いてありますね。 天麩羅が粘ついたりからっと揚がらないのは
粉の中のグルテンというタンパク質の作用とあとは油の温度です。 このグルテンというのは小麦粉の
タンパク質の成分でこれが粘りを出すのですね。粉を水で溶く場合にこねくりすぎると粘りがでてしまいます
ので さっくり混ぜる と書いてあるのです。 ある意味これは正解なのですが料理屋とか天麩羅
屋ではその手法を使っているのは多分少数派でしょう。 通常は粉だけを冷暗所で半年寝かせるとか、
あるいは粉を卵黄と水でといて逆に練るだけとことん練ってしまいます。 中途半端に練るのはよくない
のですが、徹底的に練ってしまうと逆に腰が抜けて粘り気がなくなるのです。それを冷蔵庫で3時間ほど
保存しておいてから使うとか、あるいは揚げている途中で粉が暖かくなって粘りが出ないようにボールを二重
にして氷水で冷やすとかです。またコーンスターチを少量混ぜるところもあるようです。各店と料理人に
よっていろいろやり方があり一概にどの方法が最も良いかとは云えませんが、ご家庭で天麩羅を揚げるのに
粘つかない奥の手をお話しましょう。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、薄力粉ではなくいわゆる
天麩羅粉という商品名のものを使われる場合は、これには最初から粘つかないようにコーンスターチなど
種々の成分がはいっています。なのに本に書いてあるように卵黄とか全卵を入れていませんか?
実はこれが粘りのもとになっているのです。 天麩羅粉を使う場合には卵は入れてはいけません。
水だけです。 卵黄を入れるのは純粋な薄力粉の場合だけです。
これでおそらくは油の温度さえ間違わなければからっと揚がるはずです。 どうぞお試しあれ。
さて写真は海老ですが、曲がらないように腹側に切れ目を入れてなおかつ背中側から押して筋きりを
しています。 これでまっすぐに揚がるのですね。 他に材料ごとに簡単にコツをお話しましょう。
きす 白身の魚であっさりしているのでさっと揚げたら良いと思われる方が多いかと思いますが、実は
きすはかなり油を吸わせてやらないと美味しくなりません。 とくに皮目をこんがりと揚げませんと生
臭いので、こつは身のほうに粉をつけてから溶粉につけてこんがりと揚げることです。
烏賊(いか) 天麩羅で使う烏賊は分厚いコウイカです。ヤリ烏賊や剣先などするめ系の烏賊では
天麩羅になりません。 なるべく生で食べれるぐらいの良質のコウイカを、これは衣もできるだけ薄く
できるだけさっと揚げます。 中はまだ半レアかなと思うぐらいでちょうど良い上がり具合になります。
浮き上がってくるまでまっているとかちかちになってしまいますので注意してください。
蛸 たこも揚げすぎるとすごく硬くなりますのでさっと揚げます。 そのほかには薄味で炊いておいた
ものを天麩羅にするやり方もあります。 これは少ししっかり揚げて、やはり油が少し入ったほうが
美味しいですね。 たこの炊き方はまた次の機会にでもお話しましょう。
穴子 あなごはきすと同じです。身のほうにだけ粉をつけてから溶粉につけて皮目から入れてしっかり
皮目を揚げてから身のほうもしっくりとあげます。 これも淡白ですが油をしっかりと入れてやらないと
美味しくなりませんね。
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