筍木の芽和え 春の香りの最右翼です

なんと云っても春の香りの木の芽和えと桜が
あゝ 春が来たな・・と 最も実感させてくれるものでしょう。
筍の木の芽和えという料理は日本の季節感と
   その食文化の真髄と侘び、寂びまでもが感じられる
             素晴らしい旬の料理だと私は思います。

それでは筍の下ごしらえから随分と回り道をしてきましたが全てはこの
木の芽和えの為だと云っても過言ではありません。早速木の芽味噌に
入りましょう。まず木の芽ですが出来るだけ柔らかそうな軸の細いもの
求めて下さい。最近は促成栽培で一年中木の芽がありますがやはり
木の芽は春の香りです。私は料理の香りとしてはなるべく春しか木の芽
は使わないようにしています。 それは全て春の香りをその時期に大切に
したいからです。 真冬に木の芽っておかしくありませんか? (^▽^)

さて木の芽ですが軸の柔らかいものならそのまま、軸が太くて硬いものなら面倒ですが軸を全てはずして葉だけに
します。よく洗って水気を切ってから先ずよく切れる包丁でごく小さくみじん切りにします。最初からすり鉢ですると
色が飛んでしまう
のと、こうすれば柔らかいものなら軸も小さく切れるからです。 どうしても軸が残るようなら裏ご
しします。  極みじんに切った木の芽をすり鉢に入れて最後に整えるぐらいのつもりで擦ります。後で色が飛ばな
いように出来るだけ軽く手短にすって下さい。ここに前出の本練り味噌を少しづつ加えて色を調節します。 最近
は木の芽も高価になってなかなか木の芽だけで色が出るほど木の芽味噌は作れないかもしれませんが、その場
合はほうれん草の葉の部分だけをゆがいて水気を絞ってからすり鉢ですって色を足すのに用います。    昔の
料理屋では青寄せといって、ほうれん草をゆがいて浮いてきた上澄みの緑の色素だけを集めてこれに用いましたが
そこまでやらなくてもいいでしょう。色が足りない分だけすって足してください。玉味噌にする場合はこのときに卵黄
を少しだけ足します。ここでも木の芽と玉味噌を混ぜ合わせるだけで出来るだけ摺らないようにしてください。
 
閑話休題 ここですりこ木ですが胡麻豆腐のページでお話したように、すりこ木には山椒の木を使います。何故
かというと木の芽のなる山椒の木は、その香りが料理に入っても邪魔にならないからです。この木の芽和えの場合
はそのまんまですね。 ご家庭ですりこ木が山椒の木ではないとおっしゃる方は是非一本お求めください。
食材でも道具でも料理の手法でも、・・・・何でもこういうちょっとした こだわりを持つという気持ちが料理を
                            美味しくするのではないかと私は思っています。 (^▽^)
 

さて木の芽味噌が出来たら前出のだし煮込みしておいた筍を適宜に切ります。
このページからご覧の方は筍の下ごしらえのページからお読みください。だし煮
込みした筍を用意しておくと極簡単に筍料理が何でも作れます。 ここでは甲
烏賊も使っています。どちらも同じ大きさの角切りにして木の芽味噌で和えます。
さて木の芽和えに限らず和え物で大事なのは出来うる限り器に盛る直前に、
食する直前に和える
ということです。料理の鮮度というのは通常食材の鮮度だけ
だと思われがちですが、実はこの和えてからの時間がとても重要です。この鮮度が
新鮮でないと全てが台無しになってしまいます。  和え物の場合和えてから次の
瞬間から材料の水分が出ますのですぐに水臭くなってしまいます。ここが香りが最
も大事な木の芽和えのこつのこつですね。 (^▽^)

上段でも申しましたが食材の鮮度と同様に調理の鮮度は非常に大切です。鮮度というと通常はお刺身などの
生ものや魚などを想像されると思いますが、同様に調理後の鮮度はもっと大事です。それでは料理の中で何が
一番鮮度が落ちやすいでしょうか? 実はそれはフライ物や天婦羅などの揚げ物です。  揚げ物は揚げてから
3分が命です。 ご家庭ではなかなか難しいと思いますが、揚げ物は揚げたてを供するよう努力してみて下さい。
                                   きっと何よりのご馳走だとお気づきになられるでしょう。      

                                 春の香りと 木の芽和え 侘び 寂び でした。

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